2021年08月12日

USSS ~RGギア編~

どうも、だちょうです。
お久しぶりぶり。甘城ブリリアントパーク(未視聴)。

金銭的にも精神的にも余裕がなく、つい最近まで装備熱が冷めていましたが、
夏ボーナスが入って貯金も多少復活したので少しやる気が出てきました。
そういうわけで久しぶりにブログ更新です。

さて今回のテーマはUSSS装備におけるRG(レンジャーグリーン)カラーのギアについてです。
実はこれ、結構難解なネタです。
以前の記事では「体感的には2016年くらいまでは上下ブラックのコーディネートが主流で、2017年以降はブラックのコンシャツにカーキのカーゴパンツというツートンカラーが主流になっています。」と記載しましたが、
どうやら2019年春頃くらいからRGの使用例も出てきました。

USSS ~RGギア編~


ナンデダロウネー。
というわけで分からないなりに色々と説を考えてみました。

【①HAMMERチームのような特殊技能を有したチームの新設説】
以前紹介しましたが、HAMMERチームはメディック、対NBC、ブリーチング等を専門としたチームです。
CATやERTとは異なり、RG(FG?)やカーキのギアを身につけているため文字通り異色のチームです。
周りが黒い人達ばかりの中でRGカラーのHAMMERは目立つので、例えば大統領が負傷したりした時にすぐ目につきます。
USSS ~RGギア編~

救急搬送のトレーニングの時の方がわかりやすいかもしれませんね。
Secret Service Inauguration Exercise 2017(クリックでジャンプ)

ただしこの説は残念ながらあまり説得力がありません。
まずHAMMERを例に出すなら、このRGギア使用者もHAMMERほどの異色の技能を持っていることが前提ですが、装備に目立った特徴がありません。
USSS ~RGギア編~
USSSにあってもおかしくない専門技能(役職)で残されているものは以下のものがあると考えますが、それぞれの理由から妥当とは言えません。
・チームリーダー
 装備の色で階級が変わるなんて、階級章じゃあるまいし。
・EOD
 EODに関連する装備品もパッチもボムスーツも見たことがありません。
 そもそもUSSSの仕事は爆弾の解除ではなくVIPを守ることなので、それは他の組織の仕事です。
 VIP到着前に行う事前の爆発物等危険物捜索はK-9ユニットの仕事です。
・他組織との調整等、通信関連のコーディネーター
 仮にそうであればラジオの数が少なすぎる。他組織との調整は本来はもっと裏方の偉い人の仕事のはず。
 ちなみにCSでトリプルラジオ使いの猛者がいます。

それにこれまで挙げたRG使用例はCATですが、ERTとCSにもRGの使用例があります。
写真はCSの使用例です。
USSS ~RGギア編~


いやぁ、これもうよくわからないですね。

【②DHSで採用されなかったギア横流れ説】
2001年の9.11同時多発テロ事件を受けて制定された愛国者法により国土安全保障省(United States Department of Homeland Security。略してDHS)ができます。
意外に知られていませんがUSSSはDHS隷下にあり、そしてCIAやNSAなども名を連ねるインテリジェンスコミュニティ(略してIC)にも加わっています。

USSSはICに加わることで世界のテロに関する情報を広く深く、ほぼリアルタイムに入手することができます。
元NSAでロシアに亡命したエドワードスノーデン氏の証言では、USSSはNSAが開発した「X KEY SCORE」というプログラムを用いて、
大統領に対する〇害予告やそれを仄めかす事前情報を秘密裏に収集分析していたそうです。
「X KEY SCORE」はオープンソースであるWEBサイトだけでなく普通では検索できないGmailやSNS鍵アカウントの投稿などをほぼリアルタイムで検索することができるソフトであり、
単語の検索や関連する人物を検索できるだけでなく、ブラックリストに登録した人物の投稿を通知するなどの機能も有しているそうです。
気になる人は映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」(クリックで予告動画)を観てください。

すみません、話が脱線しました。
まぁ何が言いたいのかというと、アメリカの組織はリソースを共有するなど、統合的な組織運用がされているということです。
USSS ~RGギア編~
これはRG使用例が出た2019年のDHSの各組織の予算比ですが、USCBP(国境警備隊)が全体の22%、USCG(沿岸警備隊)が16%も占めるなか、USSSはわずか3%しかありません。
所属人数の違いなどもありますが、装備等の調達数も自ずと多くなるはずです。
経費削減ウンタラカンタラでUSCBPと同じ緑色のギアが流れてきたのでは?
あるいはUSCBPの特殊部隊向けに調達したけど採用されなかったJPCが流れてきたのでは?

まぁ残念ながらこの説も立証ならずです。
なぜならUSCBPの一般的なオフィサーはODとブラックのアーマーを使用しており、JPCは使っていません。
そしてUSCBPの特殊部隊であるBORTAC(Border Patrol Tactical Unit)やBorder Patrol Special Operations Group (SOG)は2015年頃からマルチカムのギアを使用しています。
時期的にも合わないですし、わざわざマルチカムからRGに変える意味もないです。
またUSCGの一般的な隊員は皆ブラックカラーのギアです。
USCGの特殊部隊は色々ありますが、こちらもほとんどがマルチカムのギアです。

【③デルタかっこいいし俺らもマネしようぜ説】
元USSS CATオペレーターのBill Gage氏によると、もともとCATプログラムは2007年にスタートし、その際デルタと協力関係を結ぶことにより非常に影響を受けたようです。
それまでのCATはロングバレルの使いにくいSR-16に使いにくいギア、洗練されていない警察的CQBで"酷い"状態でした。
そこにアフガンから帰ってきた特殊部隊をインストラクターとしてRTC(Rowley Training Center。USSSのトレーニング施設)に招きます。
彼らの洗練されたCryeギアやショートバレルのライフル、大量にフラッシュバンを用いる戦術などがCATに良い影響を与えました。
Bill氏もそれらのスキルアップはとても新鮮だったと言います。
またそれに伴い装備の更新も進んだそうです。

CATプログラムが始動すると、所謂Tier1であるDELTA、DEVGRU、FBI HRTから定期的にトレーニングを受けることになります。
またトレーニングだけでなく国内のNSSE(National Special Security Event)にはHRTが(緊急時の即応として?)、
アフガンやコロンビアなどの戦闘区域や情勢が不安定で米軍のプレゼンスがあまりない地域にはDELTAやDEVGRU(言及はしていないがSFGやフォースリコンも)がアタッチをするようです。
「Former Secret Service Agent Bill Gage: Counter Assault Team and counterfeiters, Ep. 89」

また話が脱線してしまいました。
何が言いたいのかというと、2007年の軍特殊部隊による指導がCATをスキル的にも装備的にも飛躍的に成長させたのと同様に、
このRGギアを使い始めたのも軍特殊部隊が関係しているのではないかと考えました。
ただしこれも残念ながら説の立証は難しそうです。
USSSがRGギアを使い始める2019年近辺でDELTAやDEVGRU、FBIはRGのギアを使用していません。
惜しくもDELTA、FBIは過去にパラクのRGギアを使用していますが、後述の通りもう随分と前からギアをマルチカムに更新しています。
その他僅かに可能性があるとすれば、軍特殊部隊以外の組織から影響を受けたという可能性です。
USSS ~RGギア編~
これは「NORTHAN RED」という元DELTAや元SEALがインストラクターとして所属している団体が開催したトレーニングに参加しているUSSS CATの写真です。
奥のCAT以外はみなRGのギアを使用しています。
この時参加している他のCATも白色のコンシャツやRGのJPC2.0を使うなどかなり装備の自由度が高いです。

CATが参加したトレーニングは元DELTAのPat McNamara氏が主宰の「TMACS INC」、前述の「NORTHAN RED」しか確認できていませんが、
その他にも有名所の「RONIN TACTICS」や「DARC(Direct Action Resource Center)」にも参加しているのではないかと考えています。
そしてそこで交流を深めた他LEのギアに触発され、RGのギアを試験的に導入していると考えることもできると思います。
が、正直あまり説得力はありません。

【④「このファッション、ちょっと飽きちゃったかも~」説】
もうここまでくるとヤケクソです。
例えば州警察やFBIは2000年代前半はブラック、2000年代後半はOD、
2010~2012年くらいはRG、2013年以降くらいからはマルチカムというように、装備の色に変遷があります。
(あまりLEは詳しくないので間違っていたらすみません)
このようにギアの更新に伴い、性能的な変化があれば、見た目にも変化があります。
1033プログラム(クリックでジャンプ)も関係していると思います。

そもそも警察組織は昔からブラックあるいはグリーンなどの濃い色の制服を使用してきました。
資料によると起源はイギリスで、赤色と白色で構成された軍服と差別化を図るためだったとされています。
アメリカでもNYPDなどはブラックを基調とした制服を使用している一方、かつてのFBIはRGやODのギアを使用しています。
つまりRGはUSSSとしては異色ですが、米LEとして考えると至って普通の色なのです。
引用資料「THE PSYCHOLOGICAL INFLUENCE OF THE POLICE UNIFORM」

思い返してみると私たち装備オタクがUSSS CATを認識したのは2016年のトランプ対ヒラリーの大統領選挙の、
あのクールでカッコイイ、異色のCAT達を見たからではないでしょうか。(だちょうはまさしくこの時)
それまで全身ブラックで(カッコイイと思うけど)他LEとあまり差がなかったCATが、
PPDでもカーキのカーゴパンツと筋肉ムキムキ半袖シャツを使うことで、オタクではない一般メディアすら彼らに注目したのです。
USSS ~RGギア編~

USSS ~RGギア編~

またイラクやアフガンからの段階的撤退で米軍のリソースが余っているからでしょうか、
2018年以降はJPC2.0への更新、ヘルメットもOPSCOREバリスティックからKAIMANヘルメットへの更新、
スナイパーライフルもAXAICSへ更新、など装備更新が飛躍的に行われています。
軍の余剰リソースを警察に流す1033プログラムが物資のみならず資金の流用も可とするなら、あり得ると思います。
この装備更新に伴い、「ファッションの見直し」も行っているのではないでしょうか?

(補足)
残念ながらDLA(Defense Logistics Agency)のLESO(Law Enforcement Support Office)1033プログラムは、
出資1年間のデータしか保管しないため、2019年にUSSSに資金が提供されたかは確認ができませんでした。
また2019年度のUSSSの予算案を見ても、正直どの項目が1033プログラムによって提供された資金なのかわかりませんでした。
会計記録見るの苦手なんですよね。
まぁそもそも1033プログラムによる資金提供なんてないのかもしれません。

最後に
「ある物事が起きる"結果"には、必ずそれを引き起こす"原因"がある。」
私が尊敬する、とある脳科学者はこう名言を残しています。
18歳のセレブセブンティーンで、ひょんなことからタイムリープマシンを作ってしまったある方です。
この名言を忘れず、明日もこの謎の解明に挑みたいと思います。
USSS ~RGギア編~

まぁ結局分からないままで進捗なしですが、大学の卒論研究みたいな感じで楽しかったです。
ちなみにこのRGギアネタはかれこれ2年くらい調べ続けているネタです。
答えを知っている人はこっそり教えてください。
嬉しさのあまり喜びの舞を"飛ぶ"ことでしょう。

ピヨ~ン
USSS ~RGギア編~



同じカテゴリー(U.S.Secret Service)の記事画像
USSS ~パッチ(全般)編~
USSS ~サポートチームと無線編~
USSS CAT ~セットアップ編~
USSS CAT ~プレキャリ編~
USSS CAT~ライフル・サイドアーム編~
USSSの簡単な紹介
同じカテゴリー(U.S.Secret Service)の記事
 USSS ~パッチ(全般)編~ (2019-07-28 22:25)
 USSS ~サポートチームと無線編~ (2019-07-15 14:51)
 USSS CAT ~セットアップ編~ (2019-06-30 19:37)
 USSS CAT ~プレキャリ編~ (2019-06-23 22:50)
 USSS CAT~ライフル・サイドアーム編~ (2019-06-18 22:25)
 USSSの簡単な紹介 (2019-06-10 22:03)
Posted by だちょうさん at 19:57│Comments(0)U.S.Secret Service
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。